マネジメントで大切なこととは?管理職に必要な4つの能力
- 山田 聖子|MASAKO Yamada

- 7月28日
- 読了時間: 13分
更新日:7 日前

マネジメントで大切なことは、次の4つを一連の流れとして考え、判断し、実行することです。
1.チームが目指す方向を指し示す
2.チームの現在地と課題を見立てる
3.何に集中するかを決める
4.メンバーが動ける状態をつくる
管理職に求められるのは、自分が多くの仕事をこなすことではなく、チーム全体が成果を出せるように、人や仕事、時間、役割を整えること。
そのためには、コミュニケーション力や問題解決力などの個別のスキルだけでなく、チームの未来を起点に現在地を捉え、限られた資源をどこへ集中させるかを決め、その判断をチームの行動へつなげる力が必要です。
この記事では、マネジメントに必要な能力を「指す・見立てる・決める・動かす」という4つに分け、管理職がチームを通じて成果を出すために大切なことを解説します。
<目次>
マネジメントで大切なことは、チームが成果を出せる状態をつくること
マネジメントとは、チームが目指す方向を明らかにし、その実現に向けて、人、時間、予算、情報、役割、仕事の進め方などを整え、チームとして成果を出せる状態をつくることです。
管理職が一人で多くの仕事を処理することではありません。
チームが使える時間や人員、予算、メンバーの集中力には限りがあります。
そのため管理職は、
チームはどこへ向かうのか
現在、どのような状態にあるのか
何に集中する必要があるのか
メンバーにどう動いてもらうのか
を考え、判断し続ける必要があります。
問題が起きるたびに、会議、ルール、確認項目、新しい施策を追加しても、それまで行っていた仕事が自然になくなるわけではありません。仕事を増やし続ければ、メンバーも管理職も目の前の業務に追われ、チーム全体を見渡して考えたり、必要な判断をしたりする時間を失っていきます。
だからこそ、マネジメントでは「何をするか」だけでなく、「何をやめ、何を手放すか」まで設計する必要があります。
管理職に必要な4つの能力|指す・見立てる・決める・動かす
マネジメントに必要な能力は、コミュニケーション力や問題解決力など、一つのスキルだけでは説明できません。
管理職には、チームの未来を起点に現在地を捉え、限られた資源をどこへ集中させるかを決め、その判断をチームの行動へつなげる力が必要です。
管理職の社外メンターサービスGood Teamでは、この一連のマネジメントを「指す・見立てる・決める・動かす」という4つの能力で整理しています。
1.指す|チームの方向性と判断軸を示す力
最初に必要なのは、チームがどこを目指すのかを明らかにすることです。
何を実現したいのか
何を大切にするのか
今、どの成果を優先するのか
何には取り組まないのか
これらを管理職が示すことで、チームの判断軸が生まれます。
方向性が曖昧なままでは、メンバーは目の前の仕事をこなすことに追われ、管理職も何を続け、何をやめるべきかを判断できません。
やめることを決めるためには、先に「どこへ向かうのか」を決める必要があります。
2.見立てる|チーム全体を俯瞰し、現在地を見立てる力
方向性を示したら、次に必要なのは、視座を一段高くし、チーム全体を俯瞰して現在地を捉えることです。
成果が出ていない、メンバーが動かない、仕事が滞っているといった目の前の現象だけを見て、すぐに対策を考えるのではありません。
✔︎ チームが目指す状態に対して、今どこまで進んでいるのか。
✔︎ 何がチーム活動の前進を妨げているのか。
✔︎ チームの中で起きている問題は、どのようにつながっているのか。
メンバー同士の関係性、方向性の共有、役割や仕事の進め方、メンバーの成長などを部分ごとに切り離さず、チーム全体の状態として捉えます。
現在地の見立てがずれると、本来取り組むべき課題を見誤り、必要のない会議やルール、施策を増やしてしまうことがあります。
だからこそ、何に集中し、何をやめるかを決める前に、チーム全体を俯瞰し、目指す状態との間にある本当の課題を見立てることが必要です。
3.決める|何に集中し、何を手放すかを判断する力
チーム全体を俯瞰し、目指す状態と現在地との間にあるチーム課題を捉えても、すべてに同時に取り組むことはできません。
そこで必要なのが、どこから変えると、チーム全体が最も前へ進みやすくなるのかを判断する力です。
✔︎ 今、チームの前進を最も妨げているものは何か。
✔︎ 一つ変えることで、ほかの課題も改善しやすくなるものは何か。
✔︎ 目指す未来に向けて、最初に取り組むべきことは何か。
こうした問いを通じて、限られた時間や人員を、最も影響の大きい一手へ集中させます。
優先順位を決めるとは、取り組む順番をつけることだけではありません。
何を進めるのかを決めると同時に、そのために何をやめるのか、減らすのか、任せるのか、後回しにするのかまで判断することです。
4.動かす|判断を役割・仕組み・行動へ落とし込む力
管理職が方向性や優先順位を決めただけでは、チームの仕事は変わりません。
なぜ、ここに集中するのか
何を続け、何をやめるのか
誰がどの役割を担うのか
仕事の進め方をどう変えるのか
判断した背景と目指す状態をメンバーへ伝え、役割や会議、仕事の進め方、判断基準などへ具体的に反映させるなど、チームの仕組みやチームの日々の行動まで変えていく必要があります。
大切なのは、管理職が「やめる」と宣言して終わらずに、メンバーが新しい判断や進め方で迷わず動ける状態をつくることです。
「やめることを決める力」には、取り組むことを選ぶだけでなく、その判断をチームの行動へ落とし込み、実際の変化につなげることまで含まれます。
マネジメント力のある人は、自分が多く動く人ではない
マネジメント力のある人というと、「判断が速い人」「仕事ができる人」「部下をうまく指導できる人」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、自分が多くの仕事を処理し、問題が起きるたびに自分で解決しているだけでは、チームとして成果を出せる状態をつくったことにはなりません。
マネジメント力のある人は、
自分の業務量ではなく、チーム全体の成果から考える
目の前の現象だけでなく、背景にある構造を見立てる
すべてに取り組まず、最も影響の大きい課題を選ぶ
判断の背景を伝え、役割や仕事の進め方まで変える
自分が動き続けなくても、チームが動ける状態をつくる
という特徴があります。
プレイヤーとして仕事ができることと、管理職としてチームが成果を出せる状態をつくることは、同じではありません。
管理職には、自分が成果を出す視点から、チームを通じて成果を出す視点への切り替えが必要です。
一方で、プレイヤーとしての業務も担う管理職は、チーム全体を考え、判断し、メンバーを支援する時間を確保できないことがあります。
管理職に必要な4つの能力を発揮するためには、仕事を「やめる・減らす・任せる・仕組み化する」ことで、マネジメントの時間と余白をつくることも必要です。
プレイングマネージャーに大切なのは、マネジメントの余白を設計すること
プレイヤーとしての業務も担うプレイングマネージャーは、自分の担当業務を進めながら、メンバーの支援、進捗管理、意思決定、他部署との調整などを行わなければなりません。
そのため、目の前のプレイヤー業務を優先しているうちに、
チームの方向性を考える
メンバーと対話する
チーム全体の課題を見立てる
役割や仕事の進め方を見直す
中長期的な育成を考える
といった、本来のマネジメント業務が後回しになることがあります。
これは、管理職本人の時間管理能力だけの問題ではありません。
管理職に仕事や判断が集中している、メンバーへ仕事を任せる基準が曖昧である、会議や確認作業が増え続けているなど、仕事や役割の設計そのものに原因がある場合があります。
プレイングマネージャーに必要なのは、空いた時間でマネジメントをすることではありません。
マネジメントを行う時間を先に確保できるように、管理職自身とチームの仕事を設計し直すことです。
余白は、管理職が楽をするためのものではありません。
チーム全体を見渡し、考え、判断し、メンバーを支援するという、管理職本来の役割を果たすために必要な時間です。
何をやめ、何に集中するかを決める質問
仕事を手放すときは、単に負担の大きい仕事から削るのではなく、チームが目指す成果への影響から判断する必要があります。
次の問いを使って、現在の仕事を見直してみましょう。
この仕事は、何の成果を生むために行っているのか
今も続ける必要があるのか 管理職自身が行う必要があるのか
頻度や対象、確認項目を減らせないか
メンバーへ任せるために、何を明確にする必要があるか
仕組みを変えることで、確認や判断自体を減らせないか
一つ変えることで、ほかの仕事も減らせるものは何か
生まれた時間を、どのマネジメント業務へ使うのか
そして仕事が多すぎて、何から手をつければよいか分からないときに、特に考えてみたい質問があります。
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それを行うことで、ほかの仕事が容易になる、
あるいは必要なくなるような一つは何か?
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これは、ゲイリー・ケラー、ジェイ・パパザンの著書『THE ONE THING』で紹介されている「フォーカシング・クエスチョン」をもとにした問いです。※1
この質問のポイントは、単に「今日一番急いでいる仕事」を選ぶことではありません。
一つ取り組むことで、その後に続く仕事が楽になったり、必要なくなったりする、最も影響の大きな一手を見つけるための質問です。公式サイトでも、次の行動を容易または不要にする「最初のドミノ」を見つける考え方として説明されています。
例えば、A、B、Cという仕事を順番に進めるよりも、先にDへ取り組むことで、
Bの作業自体が必要なくなる
Aにかかる時間を減らせる
Cをメンバーへ任せられる
ことがあります。
目の前にある仕事を順番に処理するのではなく、全体を見て、何から変えると効果が大きいのかを考えることが重要です。
仕事を手放す4つの選択肢|やめる・減らす・任せる・仕組み化する
仕事を手放すことに対して、 「問題が起きたらどうしよう」「これまで続けてきたのだから、必要なのではないか」「手を抜いていると思われないだろうか」 と不安を感じる管理職もいるでしょう。 しかし、仕事を手放すことは、責任を放棄することではありません。 チームの目的や成果に照らして、今の仕事の持ち方や進め方が適切かを見直すことです。 手放し方には、次の4つがあります。
選択肢 | 見直す内容 |
やめる | 目的を終えた仕事や、成果への貢献が低い仕事を廃止する |
減らす | 頻度、対象、確認項目、会議時間、求める完成度を見直す |
任せる | 責任、権限、判断基準、支援方法を明確にしてメンバーへ渡す |
仕組み化する | 管理職が毎回確認・判断しなくても進む業務プロセスをつくる |
すべての仕事を、すぐに廃止する必要はありません。 月4回の会議を月2回にする、一部の確認をメンバーへ任せる、判断基準を共有して承認回数を減らすなど、小さく見直すこともできます。 大切なのは、仕事を減らすこと自体ではなく、そこで生まれた時間や人員を、本当に成果につながる活動へ振り向けることです。
管理職の判断を支える「地図」を持つ
管理職が「指す・見立てる・決める・動かす」という4つの能力を発揮するためには、チーム全体を捉えるための地図と、それを考える時間が必要です。
しかし、チームには、メンバーとの関係性、方向性、チームの仕組みづくり、人材育成など、さまざまな課題が複雑に関係しています。
目の前で起きている問題だけを見ていると、
本当の課題はどこにあるのか
どこから整える必要があるのか
何を続け、何をやめるのか
を判断しにくくなることがあります。
Good Teamでは、管理職の仕事を4つの領域・12の役割で捉える独自のフレーム「管理職役割12ステップ」※1を、チーム全体を見渡すための地図として活用しています。
今のチームは何が整っていて、どこに課題があり、どこから整える必要があるのか。
マネジメントの全体像を捉える型を持つことで、管理職は場当たり的に対応するのではなく、取り組む課題と優先順位を判断しやすくなります。
チームの課題と、次の一手を整理したい方へ
「何を優先すればよいか分からない」
「やることばかり増え、仕事を減らせない」
「チームの課題を、どこから整えるべきか判断できない」
このようなときは、一度チーム全体を俯瞰し、現在地と取り組む順番を整理する必要があります。
管理職の社外メンターサービス「Good Team」では、「管理職役割12ステップ」を土台に、

チーム全体を俯瞰し、現在地と課題を見立てる
優先して取り組むことと、手放すことを決める
管理職自身の仕事や時間の使い方を見直す
チームが動ける役割や進め方を設計する
職場で実践し、結果を振り返る
という流れを通じて、自分のチームに必要な一手を判断するためのマネジメントの型を身につけていきます。
支援の受け方は、ご自身の課題や学び方に合わせて選べます。
▼管理職のパーソナルメンタリング
社外メンターとの個別の対話を通じて、自分のチームの課題や判断の迷いを整理します。
(パーソナルメンタリングの詳細)
▼グループメンタリング「チェンマネBOOTCAMP」
社外メンターや他の管理職とともに、多様な視点を得ながら取り組むグループトレーニングです。
(チェンマネBOOTCAMPの詳細)
▼ご利用のご相談・お問い合わせ
個人の管理職の方からのご相談だけでなく、管理職育成やチーム課題を抱える企業からのご相談も承っています。お気軽にご連絡ください。
管理職のお悩み「よくある質問」
マネジメントで大切なことは何ですか?
マネジメントで大切なことは、チームの方向を指し示し、現在地と課題を見立て、何に集中するかを決め、メンバーが動ける状態をつくることです。
管理職自身が多くの仕事をこなすのではなく、チームとして成果を出せる人、役割、仕事の進め方を整える必要があります。
管理職に必要な能力は何ですか?
管理職には、チームの方向性を「指す力」、現在地と課題を「見立てる力」、集中することと手放すことを「決める力」、判断を役割や仕組み、行動へ落とし込み、チームを「動かす力」が必要です。
マネジメント力のある人には、どのような特徴がありますか?
マネジメント力のある人は、自分の業務量ではなくチーム全体の成果から考え、目の前の問題の背景を見立て、優先する課題を判断できます。また、自分が動き続けなくても、メンバーが判断し、協力して動ける状態をつくります。
この記事を書いた人
山田 聖子|MASAKO Yamada
株式会社Hitoiro 代表/管理職の社外メンターサービスGood Team代表

成人発達理論をベースに、管理職自身の実践を起点にしながら、一人ひとりの強みや経験を生かし、チームとして成果を出すための判断や関わり方を扱うリーダーシップ開発に取り組んでいる。社外メンタリングを通じて、これまで延べ1,000人以上の管理職の支援に携わってきた。
本記事に記載のフレームについて
※1 「管理職役割12ステップ」は、学習院大学名誉教授・今野浩一郎先生のアドバイスのもと、Good Teamが独自に開発しているマネジメントフレームです。


