top of page

管理職に向いていないと思った時に見直したい4つのこと|辞めたい・不安な時の考え方

  • 執筆者の写真: 山田 聖子|MASAKO Yamada
    山田 聖子|MASAKO Yamada
  • 2 日前
  • 読了時間: 12分
組織のエンゲージメントが低下して悩んでいる課長・部長・人事

「自分は、管理職に向いていないのかもしれない」


チームの成果が出ない。メンバーとの関わりがうまくいかない。判断しても「これでよかったのか」と不安になる。


そんなことが続くと、一つひとつの出来事ではなく、「そもそも自分は管理職に向いていないのではないか」と自信をなくしてしまうことがあります。


しかし、「管理職に向いていない」と感じた時に、すぐに管理職としての適性の問題だと決める必要はありません。

まず確認したいのは、次の4つです。


  1. 管理職として、何を目指しているのか

  2. 自分とチームの現在地が見えているか

  3. 目指す状態と現在地の間を、どう進めばよいか見えているか

  4. その方法が、自分・メンバー・チームの強みを活かしているか


このどこかが見えなくなると、管理職として何をしても手応えを感じにくくなります。


この記事では、「管理職に向いていない」「辞めたい」「このままで大丈夫だろうか」と不安になった時に、適性を判断する前に見直したいことを整理します。

目次

※会員限定公開記事は、Good Team LOUNGE.への無料会員登録が必要です。


管理職に向いていないと感じるのはどんな時か


管理職に向いていないと感じるきっかけは、人によって違います。


  • メンバーに何度伝えてもうまく伝わらない。

  • 仕事を任せたいのに、結局自分で抱えてしまう。

  • チームの成果が出ない。

  • 上司から求められていることに応えられている気がしない。

  • 周りの管理職と比べて、自分だけできていないように感じる。


こうした出来事が重なると、

「自分は判断力がない」

「人を動かすのが苦手だ」

「管理職には向いていない」

と、自分自身への評価に変わっていくことがあります。


2007年に、ロイヤル・ホロウェイ・ロンドン大学の心理学者Michael W. Eysenckらが、米国心理学会の学術誌『Emotion』で発表した「注意制御理論(Attentional Control Theory)」では、

不安が強くなると、目標に沿って注意を向ける働きの効率が低下し、周囲の刺激や脅威となる情報に注意が向きやすくなることが示されています(Eysenck et al., 2007)。


つまり、不安を感じている時には、「できなかったこと」や「うまくいかなかったこと」が普段以上に気になり、自分の見方が狭くなることもあります。


だからこそ、「私は管理職に向いているのか、向いていないのか」という大きな問いだけで自分を判断せず、今、何が見えなくなっているのかを具体的に分けて考えることが大切です。



管理職に向いていないと思った時に見直したい4つのこと


管理職に向いていないと思った時に見直したい4つのこと


1.管理職として、何を目指しているのか

最初に確認したいのは、管理職として進む方向です。

「このチームを、どのような状態にしたいのか」

「メンバーには、どのように働いてほしいのか」

「そのために、自分はどんな管理職でありたいのか」


会社から与えられた数値目標だけでなく、自分自身が管理職として何を実現しようとしているのかまで言葉になっているでしょうか。


2002年に、メリーランド大学のEdwin A. LockeとGary P. Lathamが、米国心理学会の学術誌『American Psychologist』で、それまで約35年間にわたる目標設定研究を整理した論文を発表しています。

その中では、明確で挑戦的な目標が行動や成果に与える影響や、目標が機能する条件などが体系的に整理されています(Locke & Latham, 2002)。


進む方向が曖昧なままでは、毎日懸命に動いていても「これでいいのだろうか」という感覚が残ります。



2.自分とチームの現在地が見えているか

行き先が決まっても、現在地が分からなければ次の一手は決まりません。


売上やKPIだけではなく、

  • チームで今うまくいっていること

  • 成果を妨げていること

  • メンバーに起きていること

  • 管理職自身が抱えすぎていること

  • 上司や他部署との間で調整が必要なこと

などを、できるだけ事実から捉えていきます。


たとえば、

「自分は部下育成ができていない」ではなく、

「任せようと思っていた業務を、今月も3件自分で対応した」まで具体的にすると、初めて扱える課題になります。


「向いていない」という自己評価ではなく、今どこにいるのかを確認することが必要です。



3.目指す状態と現在地の間を、どう進めばよいか見えているか

目的も現在地も分かっている。

それでも、「こんな状態から本当に変えられるのだろうか」と感じることがあります。


そんな時は、目標までの距離が大きすぎるのかもしれません。


1977年に、スタンフォード大学の心理学者Albert Banduraが、学術誌『Psychological Review』で「自己効力感(Self-Efficacy)」の理論を発表しました。

自分が必要な行動を実行できるという認識は、どの行動を選ぶか、どれだけ努力するか、困難な状況でどれだけ続けられるかと関係すると考えられています(Bandura, 1977)。


「チームを自走させる」では大きすぎても、

「今週、任せたい業務を一つ決める」

「一人のメンバーと、役割の認識を合わせる」

まで小さくすれば、動けることがあります。


目標を下げるのではなく、現在地からそこへ向かう道筋を小さく分けることがポイントです。



4.その方法が、自分・メンバー・チームの強みを活かしているか

目的も分かった。現在地も分かった。やることも見えている。

それでも、どうしても動けないことがあります。


そんな時は、「管理職ならこうするべき」「優秀な管理職はこうしている」という方法を、そのまま実行しようとしていないかも確認してみます。


対話しながら考えるのが得意な管理職もいれば、

一度整理してから伝える方が力を発揮できる人もいます。

管理職が先頭に立つことで進むチームもあれば、

メンバーに役割を渡した方が力を発揮するチームもあります。


方法が正しくても、自分やメンバーの強みが活かされていなければ、続けることは難しくなります。


必要なのは、誰かの成功例をそのまま再現することではなく、自分たちの力で実行できる方法へ変えていくことです。



管理職に向いていない・辞めたいと感じた時ほど、一人で考えすぎない


「管理職に向いていない。もう辞めたい」


そこまで思う時には、すぐに辞める・続けるを決める前に、先ほどの4つのどこで止まっているのかを一度整理してみることをおすすめします。


ただし、これを自分一人で行うことが難しい時もあります。

不安が強くなっている時ほど、自分が失敗したことや、できていないことへ注意が向きやすくなることがあります。


そんな時は、上司や先輩管理職、信頼できる管理職経験者、社外メンターなど、自分とは違う視点から現在地を一緒に見てくれる人と話すことも一つの方法です。



自分が管理職に向いていないと思って、上司や先輩管理職、信頼できる管理職経験者、社外メンターに相談する課長・部長など中間管理職の様子

2016年に、Rebecca J. Jones、Stephen A. Woods、Yves R. F. Guillaumeらが『Journal of Occupational and Organizational Psychology』で発表した研究では、社内外のコーチによる職場コーチングについて17の研究を統合して分析しています。

その結果、職場コーチングは、スキルや心理面、個人レベルの成果を含む組織内の成果に、全体として肯定的な効果を持つことが報告されています(Jones, Woods & Guillaume, 2016)。


一方で、管理職として「自分は向いていない」と感じている時に必要なのは、気持ちを整理するための対話だけとは限りません。


  • 今の自分とチームに何が起きているのか。

  • 管理職としてどの役割でつまずいているのか。

  • 何を変えればチームの成果につながるのか。

  • そして、自分やメンバーの強みを使ってどう実践するのか。


こうしたことは、自分への問いかけだけでは整理しにくい場合があります。


だからこそ、上司や先輩管理職、社外メンターなどに相談する時には、話を聞いてもらえるかだけではなく、管理職としての現在地を一緒に見立て、

必要な視点や具体的なフィードバックをもらい、

現場で試す次の一歩まで一緒に考えられる相手かという視点も大切です。


相談する目的は、答えを決めてもらうことではありません。

「今、本当に起きていることは何か」

「管理職として、どこで成長が止まっているのか」

「別の見方をしたら、どんな選択肢があるか」

「自分やチームの強みを使うなら、どう進められるか」

を一緒に整理し、必要であれば経験者からの視点やフィードバックも受けながら、

自分で次の一歩を選び、実際の現場で試していくためです。


Good Teamでも、対話だけで終わらせず、管理職本人の価値観や感情、自分とチームの現在地、管理職として求められる役割、本人やメンバーの強みまで一緒に整理しながら、現場で実践する次の一歩につなげることを大切にしています。



管理職としての力は、実践しながら育てられる

1967年に刊行されたピーター・ドラッカーの『The Effective Executive』では、成果をあげるための「effectiveness」は、生まれ持った性格や才能だけで決まるものではなく、繰り返し実践することで身につけていくことができると述べられています。


ドラッカーは、自身のピアノ教師から言われた言葉を引きながら、優れたピアニストでなくても音階は練習によって身につけられるように、成果をあげるために必要な実践も繰り返し練習することで習得できる、という考え方を示しています(Drucker, 1967)。


管理職も、最初から完成している必要はありません。


メンバーとの関わり方も、任せ方も、判断の仕方も、チームの動かし方も、実践し、振り返り、また試す中で育てていくことができます。

「向いているか、向いていないか」で自分を判定する前に、今、自分はどこで止まっているのか。

まずそこを見つけることから始めてみてください。


※ここからGood Team LOUNGE.会員限定公開(会員登録無料)


管理職に向いていないの正体を見つける「15分整理法」


ここからは、ここまでの4つの視点を使って、「自分は管理職に向いていない」という感覚を、実際に扱える課題まで整理してみます。


最近、「自分には向いていないかもしれない」と感じた一つの具体的な場面を選んでください。

その一つについて、次の順番で考えます。

            記事の続きは…

            goodteam.jp を定期購読してお読みください。

            bottom of page