何も言わない部下は何を考えている?本音を引き出すより大切な向き合い方
- Good Team事務局

- 21 時間前
- 読了時間: 13分
「自分に余裕がないとき、何も言わない部下への関わりが疎かになってしまう」と、課長の方からお悩み相談を、管理職の越境コミュニティ「Good Team LOUNGE.」にお送りいただきました。
何も言わない部下が何を考えているのかは、沈黙だけでは分かりませんよね。

特に困っていない場合もあれば、まだ考えが整理できていない、上司が忙しそうなので話すのを控えている、伝えても状況は変わらないと思っている場合もあります。
本音を言わない部下への対策として大切なのは、なぜ話さないのかを上司が決めつけたり、本音を無理に引き出したりすることではありません。
管理職自身に余裕がないときは、すべてをしようとせず、まずは次の2つだけで大丈夫です。
実際に見ていたことや、助けられたことを一言伝える
今は十分に話せないことを伝え、次に話す機会を決める
そして、少し余裕が戻ったときに、課長として何を確認し、どのように部下と関わればよいのかについても、具体例を交えて解説します。
💭 管理職の方から寄せられたお悩みPickup
管理職としてひとりひとりに響く伝え方をしなければいけない、見守り続けないといけないと思いつつ、自分の余裕がないときに疎かになってしまっている。
不満を伝えてくれる部下ならいいが、物分かりのいい部下に一番迷惑をかけてしまっている。
(マネジメント歴:6年/課長/女性)
目次
※ Good Team LOUNGE.(入会無料)では、毎月会員の皆さまから届くマネジメントに関するお悩みを社外メンターがピックアップしてお答えしています。
何も言わない部下は何を考えている?
何も言わない部下が何を考えているのかは、本人に確認しなければ分かりません。
しかし、管理職が目の前の業務に追われている時、確認が後回しになることもありますよね。

部下が何も言わない背景としては、次のような可能性が考えられます。
特に困っていることや不満はない
まだ自分の考えを整理している
上司が忙しそうなので、話すのを控えている
周囲との関係を悪くしたくない
自分で対応できると考えている
伝えても状況は変わらないと思っている
ただし、これらはあくまで可能性です。
目の前の部下がどれかに当てはまっていると、上司が決めつけることはできません。
組織行動研究では、従業員が職場の問題や懸念について、上司に伝えずにいることを「従業員の沈黙」として研究しています。
従業員への調査では、否定的に見られることへの不安、人間関係への影響、話しても状況は変わらないという認識などが、上司に意見や懸念を伝えない理由として報告されています。[※1]
一方で、何も言わない部下が、必ず何かを隠していたり、不満を抱えていたりするわけではありません。
そのため、「何も言わないから問題はない」「何も言わないから、きっと不満がある」と、どちらかに決めるのではなく、現在の仕事や上司との関わり方について、必要なタイミングで本人に確認することが大切です。
では、管理職自身に余裕がないとき、何も言わない部下にどのように関わればよいのでしょうか。
次に、本音を言わない部下への対策を考えていきます。
本音を言わない部下への対策
ここでいう「本音を言わない部下への対策」とは、部下に本音を話させる方法ではありません。
本音を言わない部下への対策で、最も押さえておきたいのは、部下に「ちゃんとあなたの存在を見ているよ」と伝わることです。
困りごとや不満を自分から伝えてくれる部下には、上司も状況を把握し、対応する機会が生まれます。
一方で、何も言わない部下は、困っていることが表に出にくいため、管理職が忙しいときほど関わりが後回しになりやすくなりますよね。
上司が心の中で、
「信頼して任せている」
「いつも助けられている」
「これからも期待している」と思っていても、
言葉や行動で示さなければ、部下には伝わっていないことがあります。
何も言わないからこそ、上司から、「あなたの仕事を見ています」「あなたに助けられています」「あなたに期待しています」ということを、実際の行動や出来事に結びつけて伝えることが大切です。
もちろん、目の前の部下が実際にどのように感じているのかは、本人にしか分かりません。
だからこそ、部下の気持ちを推測するのではなく、まずは上司が見ていることや感じていることを、相手に伝わる形で言葉にします。
自己決定理論では、
自律性・有能感とともに、他者との結びつきに関わる「関係性」が、人の基本的な心理欲求の一つとして位置づけられています。職場における関係性の欲求についても研究されています。[※2]
また、上司が自分の貢献を評価し、自分の状態を気にかけていると部下が感じることは、「知覚された上司支援」と呼ばれています。
上司から支援されているという認識は、組織から支援されているという認識や、従業員の定着との関連が研究されています。[※3]
では、管理職自身に余裕がないときに、「ちゃんとあなたの存在を見ているよ」ということを、どのように伝えればよいのでしょうか。
次に、余裕がないときにもできる2つの関わり方を具体的に見ていきます。
何も言わない部下との向き合い方|余裕がないときは2つだけ
管理職自身に余裕がないときは、すべての部下と長く話したり、一人ひとりに合わせて丁寧に関わったりすることが難しい場合もあります。
不満や困りごとを伝えてくれた部下への対応を、先に行わなければならないこともあるでしょう。
そのようなときは、すべてを行おうとせず、まず次の2つを優先します。
1.実際に見ていたことや、助けられたことを一言伝える
長い面談や丁寧なフィードバックができなくても、実際に見ていた行動や、助けられたことを短く伝えることはできます。
例えば、次のような言葉です。
「昨日の調整、助かりました」
「〇〇さんが進めてくれていること見ています」
「今週あまり話せていないけれど、対応してくれていることは分かっています」
「先日の対応は、周囲の状況も見ながら進めてくれていましたね」
立派なフィードバックにする必要はありません。
上司が実際に見ていたことや、助けられたことを、具体的に一言伝えます。
また、必要に応じて、
「この仕事は、これからも〇〇さんに期待しています」
などと、期待していることを伝えることもできます。
ただし、実際には見ていないことを「見ています」と伝える必要はありません。
上司が本当に見ていた行動や、実際に助けられたことを言葉にすれば十分です。
2.今は十分に話せないことを伝え、次に話す機会を決める
自分に余裕がないときに無理に話す時間をつくっても、十分に話を聞けなかったり、途中で別の対応が入ったりすることがあります。
その場合は、その場ですべてを聞こうとせず、今は十分に話せないことを伝えたうえで、次に話す機会を決めます。
例えば、
「今日は十分に時間が取れないので、明日10分だけ話させてください」
「今週あまり話せていないので、金曜日に状況を聞かせてもらえますか」
「来週の1on1で、今の仕事について確認させてください」
などと伝えるだけで部下は安心します。
大切なのは、実際に時間を取れる日時を伝え、決めた機会を守ることです。
今、十分に関われないときにも、
「今は十分に話せないけれど、あなたと話す機会を持ちたいと思っている」
という意思を伝え、次の接点をつくることができます。
余裕がないときは、
実際に見ていたことや、助けられたことを一言伝える
今は十分に話せないことを伝え、次に話す機会を決める
まずは、この2つを行います。
両方が難しいときは、見ていたことや助けられたことを一言伝えるところから始めてみてください。
何を考えているかわからない部下には、何を聞けばいい?
何を考えているかわからない部下との向き合い方で大切なのは、相手の内面を上司が推測したり、決めつけをしないことです。
少し余裕が戻ったら、現在の仕事や上司との関わり方について、具体的に確認します。
ここでも、「何か不満はない?」「本音を言ってほしい」「本当はどう思っているの?」などと、いきなり本音を求める必要はありません。

「本音」という広い言葉で聞かれると、部下は何について、どこまで話せばよいのか迷うことがあります。
例えば、次のように尋ねます。
「今の仕事で、進めにくいと感じているところはありますか?」
「私から、もう少し確認した方が進めやすい仕事はありますか?」
「反対に、今のまま任せた方が進めやすい部分はありますか?」
「私の関わり方で、増やしてほしいことや減らしてほしいことはありますか?」
もし、部下がすぐに答えられなくても大丈夫です。
その場合には、
「今すぐ答えなくても大丈夫です」
「後から思いついたことがあれば、聞かせてください」
と、考える時間を残します。
何も言わない部下の気持ちを上司が推測するのではなく、現在の仕事や関わり方について本人に確認し、返ってきた言葉をもとに、必要な関わりを考えていきます。
管理職のメタ認知|余裕がないときの行動をあらかじめ決める
今回の相談者の方は、自分に余裕がないときに、部下との関わりが疎かになってしまうことを認識し、言葉にしています。
このように、自分の思考や状態、行動を一段引いたところから捉え、確認する働きを「メタ認知」といいます。[※4]
管理職にとってメタ認知が大切なのは、自分のできていないところを探すためではありません。
自分に余裕がないとき、行動しやすい時、不安になる時など、
自分自身の感情、意識、思考、行動などの状態を俯瞰し、どんなシーンや状況の時に、
「どのような行動になりやすいか」「何が後回しになりやすいか」
などを把握できれば、次に同じ状態になったときの行動を、あらかじめ決めておけるからです。
今回であれば、
✔︎ 余裕がないときは、実際に見ていたことを一言伝える。
✔︎ 今話せないときは、次に話す機会を決める。
という行動を事前に決めておくことができます。
管理職のメタ認知は、自分の状態を分析して終わるものではありません。
自分の傾向を把握し、余裕がないときにも取れる行動へつなげることに意味があります。
今回の相談者の方が、自分に余裕がないときの関わりを振り返れていることは、次の行動を変えるための大切な出発点です。
管理職に余裕がない状態が続くときは
自分に余裕がない状態が一時的なものであれば、
見ていたことを一言伝える
次に話す機会を決める
という2つを残すことで、そのときにできる関わりを続けられます。
しかし、自分に余裕がない状態が続いているのであれば、部下への声のかけ方だけでは解決できません。
例えば、次のような点も振り返る必要があります。
プレイヤー業務を抱えすぎていないか
問題が起きるたびに、すべて自分で対応していないか
自分で行う仕事と、部下に任せる仕事を分けられているか
上司や周囲に、現在の負荷を相談できているか
部下と話す時間を、余った時間に行うものにしていないか
部下との関わりを大切にしたいと思っていても、管理職自身が多くの仕事を抱えていれば、余裕がなくなるたびに同じことが起こります。
これは、管理職本人の意識や思いやりだけの問題ではありません。
仕事の優先順位や任せ方、周囲から受けられる支援も含めて、管理職自身が部下と関われる状態をどうつくるかという、マネジメント全体の課題です。
管理職の悩みを一人で抱え込まないために
管理職の越境コミュニティ「Good Team LOUNGE.」では、会員の皆さまから毎月寄せられるマネジメントのお悩みの中からテーマを取り上げ、Good Teamメンターからの回答記事やラジオとしてお届けしています。
「必要なことは分かっているのに、思うようにできない」
「自分に余裕がなくなると、部下への関わりが疎かになってしまう」
このような管理職としての悩みも、一人で抱え込まず、他社の管理職やGood Teamメンターの視点に触れながら考えられる場所です。
▼会社の枠を越えて、異なる背景を持つ管理職同士が視点を共有する、無料・承認制の越境コミュニティです。

また、管理職の社外メンターサービスGood Teamでは、課長・部長層を中心とした管理職育成・支援の一環として、社外メンターによるメンタリングをご提供しています。
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この記事を書いた人
山田 聖子|MASAKO Yamada
株式会社Hitoiro 代表/管理職の社外メンターサービスGood Team代表

成人発達理論をベースに、管理職自身の実践を起点にしながら、一人ひとりの強みや経験を生かし、チームとして成果を出すための判断や関わり方を扱うリーダーシップ開発に取り組んでいる。社外メンタリングを通じて、これまで延べ1,000人以上の管理職の支援に携わってきた。
参考文献・出典
[※1] Milliken, F. J., Morrison, E. W., & Hewlin, P. F.(2003)“An Exploratory Study of Employee Silence: Issues that Employees Don’t Communicate Upward and Why.” Journal of Management Studies, 40(6), 1453–1476. DOI:10.1111/1467-6486.00387
[※2] Van den Broeck, A., Vansteenkiste, M., De Witte, H., Soenens, B., & Lens, W.(2010)“Capturing Autonomy, Competence, and Relatedness at Work: Construction and Initial Validation of the Work-related Basic Need Satisfaction Scale.” Journal of Occupational and Organizational Psychology, 83(4), 981–1002. DOI:10.1348/096317909X481382
[※3] Eisenberger, R., Stinglhamber, F., Vandenberghe, C., Sucharski, I. L., & Rhoades, L.(2002)“Perceived Supervisor Support: Contributions to Perceived Organizational Support and Employee Retention.” Journal of Applied Psychology, 87(3), 565–573. DOI:10.1037/0021-9010.87.3.565
[※4] Flavell, J. H.(1979)“Metacognition and Cognitive Monitoring: A New Area of Cognitive-Developmental Inquiry.” American Psychologist, 34(10), 906–911. DOI:10.1037/0003-066X.34.10.906
管理職のお悩み「よくある質問」
何も言わない部下は、何を考えているのでしょうか?
何も言わないという事実だけでは、部下が何を考えているのかは分かりません。
特に困っていない場合もあれば、上司が忙しそうなので話すのを控えている、まだ自分の考えを整理している、伝えても状況は変わらないと思っている場合もあります。
「問題はない」「不満があるに違いない」と決めつけず、現在の仕事や上司との関わり方について、本人に確認することが大切です。
本音を言わない部下への対策は?
本音を言わない部下への対策で最も大切なのは、部下に「ちゃんとあなたの存在を見ているよ」と伝わることです。
上司が実際に見ていたことや、助けられたことを具体的に伝えます。少し余裕があるときには、現在の仕事で進めにくいことや、上司である自分に増やしてほしい関わりについて尋ねます。
自分に余裕がないときは、何も言わない部下にどう関わればよいですか?
余裕がないときは、次の2つだけで大丈夫です。
1つ目は、実際に見ていた行動や、助けられたことを一言伝えることです。
2つ目は、今は十分に話せないことを伝え、次に話す日時や機会を決めることです。
何を考えているかわからない部下には、何を聞けばよいですか?
「本音を教えて」と急に心の内側へ踏み込むのではなく、現在の仕事や上司との関わり方について具体的に尋ねます。
「今の仕事で進めにくいところはありますか」「私から増やした方がよい関わりはありますか」など、答える範囲が分かる質問から始めます。
管理職にとってメタ認知は、なぜ重要なのでしょうか?
メタ認知とは、自分の思考や状態、行動を一段引いたところから俯瞰して捉えることです。
例えば、管理職が自分に余裕がなくなったときにどのような行動になりやすいかを把握できれば、同じ状態になった際に取る行動を、あらかじめ決めておくことができます。
管理職に余裕がない状態が続く場合は、どうすればよいですか?
余裕がない状態が続く場合には、部下への声のかけ方だけでなく、管理職自身の仕事の持ち方を見直す必要があります。
プレイヤー業務を抱えすぎていないか、任せられる仕事まで自分で対応していないか、上司や周囲から支援を受けられているかを確認します。




