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成人発達理論で考える「管理職育成」|成長段階に合わせた育成設計とは

  • 執筆者の写真: Good Team事務局
    Good Team事務局
  • 6 時間前
  • 読了時間: 7分

同じ研修を実施しても、管理職によって行動変容に差が生まれることがあります。

今回は、成人発達理論を手がかりに、一人ひとりのものの見方や成長課題を捉え、現場でチーム成果につなげる育成設計を考えます。


同じ研修を受けても管理職ごとに行動変容の度合いが異なるのは、知識や意欲だけでなく、役割や出来事を捉える枠組みに違いがあるためです。

成人発達理論を人の優劣を測る診断ではなく、現在の成長課題を見立てる視点として使い、対象者の経験段階に合う学習と現場実践を組み合わせることが、チーム成果につながる管理職育成の要点です。



成人発達理論とは何か

管理職・課長・部長・マネージャーなどの成人が経験を通じてものの見方を広げる場面

成人発達理論は、成人も経験や内省を通じて、ものの見方や意味づけの枠組みを変化させていくと考える理論です。知識や技能が増えることだけでなく、自分、他者、組織をどのような関係で捉えるかが変わる「質的な成長」に目を向けます。


ハーバード大学教育大学院の心理学者であるロバート・キーガン(Robert Kegan)が1982年に提唱しました。


管理職育成に当てはめると、同じ「部下に任せられない」という行動でも、背景は一様ではありません。


自分で成果を出すことに価値を置いている場合もあれば、

周囲の期待に応えようとして抱え込んでいる場合もあります。


表面的な行動だけでなく、その人が何を前提として判断しているかを捉えることで、必要な支援を考えやすくなります。


ただし、発達段階は人の優劣を測る格付けや、固定的に分類したりするものではありません。

仕事、家庭、未知の状況など、置かれた文脈によって現れ方も変わります。

人事はラベルを付けるのではなく、対話と観察を通じて成長課題を仮説として見立てることが大切です。




ロバート・キーガンの成人発達理論の5段階

成人発達理論の5段階を階段状に整理した場面

ロバート・キーガンの成人発達理論は、人が自分と周囲の関係をどのように意味づけるかを5段階で説明します。一般には次のように整理されます。


なお、第1段階は主に幼児期に見られる段階で、成人の発達を考える際には主に第2段階以降、特に第3〜第5段階が中心になります。


  1. 第1段階:衝動的段階(Impulsive Mind)

    目の前の感覚や出来事を中心に捉えます。(主に幼児期に見られる段階)


  2. 第2段階:道具主義的段階(Imperial Mind)

    自分の欲求や損得を軸に判断します。


  3. 第3段階:他者依存段階(Socialized Mind)

    周囲の期待や所属集団の価値観を重視します。


  4. 第4段階:自己主導段階(Self-Authoring Mind)

    自分なりの価値基準や方針を持ち、複数の期待を調整します。


  5. 第5段階:自己変容段階(Self-Transforming Mind)

    自分の価値基準にも限界があると捉え、異なる枠組みを行き来しながら更新します。



成人発達理論の5段階を知る目的は、上の段階を一律に目指させることではありません。

今の役割で直面している課題と、本人が頼っている判断軸の間にどのようなずれがあるかを把握し、次の経験を設計するために活用します。




成人発達理論から見る管理職の成長課題

管理職が自分とチームの課題を俯瞰する場面

管理職になると、自分の担当業務を遂行するだけでなく、部下の成長、チーム成果、上位方針、他部署との連携を同時に扱う必要があります。

プレイヤー時代の成功パターンだけでは対応しにくくなるため、役割転換に伴う葛藤が起こります。



周囲の期待を引き受けすぎる

上司や部下からどう見られるかを強く意識すると、厳しいフィードバックを避けたり、依頼を断れずに仕事を抱えたりします。必要なのは単なる話し方の習得ではなく、自分が大切にするマネジメント方針を言葉にし、期待を調整する経験です。


自分の正解に固執する

経験を積んだ管理職は、自分なりの判断軸を確立している一方、過去の成功体験が新しい環境への適応を妨げることがあります。異なる意見を材料として扱い、自分の前提を検討し直すアンラーンが成長課題になります。


複雑な課題を自分だけで解こうとする

部門を越える課題には、単独の正解がない場合があります。他者の視点を取り込み、対話を通じて仮説を更新する力が求められます。成人発達理論は、このような行動の背景にある意味づけを捉える手がかりになります。




発達段階に応じて管理職育成を設計する方法

人事が対象者別の育成計画を設計する場面

育成施策を選ぶ前に、人事は対象者、目的、現場課題を整理します。

発達段階を推定するテストから始めるのではなく、実際の行動や対話から仮説を立てる進め方が現実的です。



対象者と期待役割を明確にする

新任管理職、経験者、次世代リーダーでは、求められる役割が異なります。対象者の職位や年次だけでなく、組織から期待される意思決定、育成、変革の範囲を確認します。


行動と背景を分けて見立てる

「任せない」「会議で発言しない」といった行動を挙げ、その背景にある不安、価値観、成功体験を対話で探ります。本人の強みも確認し、否定ではなく、強みの使い方を広げる課題として扱います。


一段先の経験を設計する

少し背伸びが必要な役割、他部署との協働、部下への権限移譲など、現在の前提を見直す経験を設定します。難易度を上げるだけでなく、振り返りやフィードバックを組み合わせ、経験から意味を引き出せるようにします。




研修で学んだことを現場の行動に変える仕組み

研修後に管理職が現場で実践と振り返りを繰り返す場面

研修は共通言語や知識を得る機会ですが、理解しただけで日常の行動が変わるとは限りません。

多忙な現場では、従来の判断や習慣に戻りやすいためです。


研修転移に関する研究でも、研修内容の職場への転移には、本人の特性だけでなく、研修設計や職場環境なども関係することが、示されています。


研修後に小さな実践を決め、結果を振り返り、次の行動を修正するリーダーシップPDCAが必要です。


実践テーマは、「部下との1on1で問いを1つ増やす」「会議で結論を出す前に異論を聞く」など、観察できる行動にします。


上司は評価だけでなく、実践機会の提供と振り返りを支援します。

人事は個人の変化だけでなく、上司の関与、会議運営、権限設計など、行動を妨げる環境も確認します。


Good Teamは、研修だけでも対話だけでもなく、課題の見立て、管理職役割12ステップというマネジメントの型、本人の強み、現場実践までをつなぐ社外メンターとして伴走します。


管理職育成で出会い、研修で学び切ったあとに、現場で次の成長を動かす支援を重視しています。




管理職の経験段階に合わせた育成施策の選び方

管理職の経験段階ごとに育成施策を選ぶ場面

育成施策は、知名度や形式から選ぶのではなく、対象者がどの役割転換に直面し、どの行動を変えたいのかを起点に選びます。


新任から2年目:プレイヤーから管理職へ移る

自分で成果を出す状態から、チームを通じて成果を生む状態への移行が中心課題です。はじめての管理職プランは、新任から2年目のトランジション期に、役割理解と現場での小さな成功体験を積む選択肢です。


3年目以降:成功体験を見直して視座を広げる

一定の経験を積んだ管理職には、既存のやり方を手放すアンラーンや、部門を越えた視座への転換が求められます。マネジメント変革プランは、自身の前提を見直し、次世代リーダーとしての課題を整理する選択肢です。


組織横断:越境と実践の習慣をつくる

管理職同士が部署を越えて学び、実践と振り返りを継続したい場合は、チェンマネBOOTCAMPが候補になります。越境学習とリーダーシップPDCAを組み合わせ、研修後も現場で試行を続ける設計です。

いずれも、発達段階だけで機械的に決めるものではありません。対象者の強み、現場の課題、育成目的、上司の支援状況まで整理して選ぶことが重要です。




管理職育成の課題を相談する

人事担当者と育成担当者が管理職育成の課題を相談する場面

成人発達理論を育成に生かす第一歩は、管理職を段階に分類することではなく、「誰が、どの役割で、何につまずき、どのようなチーム成果を目指すのか」を言葉にすることです。そのうえで、学習、対話、現場実践をつなぐ設計を検討します。


施策がまだ決まっていない段階でも構いません。

対象者、育成目的、現在の現場課題を伺いながら、必要な支援を一緒に整理します。

人事・部長・本部長など、管理職の育成をご検討中の方は、管理職育成の課題を相談するからお問い合わせください。





成人発達理論を管理職育成にどう活用するか、他の視点からもご紹介しています。

下記で詳しく解説しています。

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