管理職=罰ゲームを脱却!次世代リーダーが「やりたい」と動く新・育成術
- 山田 聖子|MASAKO Yamada

- 1月8日
- 読了時間: 6分
「マネージャーを任せたいと言っても、いい返事がもらえない」「今の管理職が疲弊していて、若手に希望を見せられない」
人事担当者として、これほど切実な悩みはありません。
近年、多くの企業で「管理職=罰ゲーム」という空気が広がっています。
役職手当を数万円上乗せしたり、業務効率化を進めたりしても、この拒否感は簡単には解消されません。
なぜなら、次世代リーダーたちが感じている不安の正体は、単なる「忙しさ」や「責任の重さ」ではないからです。
彼らが本当に恐れているのは、管理職になることで「自分の人生の主導権(自己決定感)」を失うこと。
本記事では、管理職を「人生の罰ゲーム」から「キャリアを豊かにする経験」へと捉え直すために、人事が押さえておきたい視点の転換(パラダイムシフト)を、データとともに整理します。
管理職になりたくない人が増えている理由【データで見る現実】
管理職になりたくない人は77.3%|調査データが示す傾向
なぜ、次世代リーダーたちはこれほどまでに管理職を避けるのでしょうか。
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の調査では、一般社員の77.3%が「管理職になりたくない」と回答しています。この割合は2018年(72.8%)から増加しており、管理職志向の低下が進んでいることが分かります。

この数字は、「一部の若手が消極的」という話ではありません。
組織の中核を担うはずの層そのものが、管理職を魅力的な選択肢として見られなくなっている現実を示しています。
「向いていない」と感じる心理の正体とは?
さらに同調査で、「管理職になりたくない理由」として最も多かったのは、「自分は管理職に向いていないと思うから」という回答でした。
ここで注目すべきなのは、「責任が重い」「忙しそう」といった表層的な理由の奥に、自己評価・自己理解への不安が含まれている点です。
管理職になることで、
私生活が仕事に飲み込まれるのではないか
自分らしいキャリアを描けなくなるのではないか
成果も人も、すべて背負わされるのではないか
こうした漠然とした不安が積み重なり、「自分は向いていない」という言葉に集約されていきます。
いま人事に求められているのは、スキルや知識を上乗せすることではありません。
管理職という役割そのものの意味づけを、どう支えるかです。
管理職への不安を減らす方法|役割を「分解」するという考え方
なぜ管理職は「全部背負う仕事」に見えてしまうのか
次世代リーダーが「管理職は無理です」と口にするとき、マネジメントはしばしば「巨大で、複雑で、何でもやらされる役割」として認識されています。
評価、育成、成果、トラブル対応、上司と部下の板挟み。これらが一つの塊として見えている状態では、「やる/やらない」という極端な判断しか残りません。
管理職の役割を4つに分けて考える(関係性・戦略・組織・成長)
そこで有効なのが、管理職の役割を分解して可視化することです。
例えば、マネジメントを次の4つの領域に整理します。
関係性:メンバーとの信頼関係をどう築くか
チーム戦略:どこを目指し、どう舵を切るか
組織構築:成果を出すための仕組みをどう作るか
成長支援:メンバーの強みや可能性をどう引き出すか
こうして役割を分けて伝えるだけで、管理職は「正体不明の重圧」ではなく、扱える仕事の集合体として見え始めます。
「全部やらなきゃ」から「自分の強みから始める」への転換
役割の解像度が上がると、「全部を完璧にやらなければならない」という思い込みが緩みます。
「関係性づくりは得意だから、まずはここから」
「戦略はまだ苦手だけれど、今は学びながらでいい」
自分の持ち味を起点に現在地を把握できる(役割理解)ことで、管理職という役割に対するスタンスが整い始めます。
これは、管理職への第一歩を踏み出すための非常に重要な心理的土台です。
管理職育成がうまくいかない理由|「社内の正解」に閉じている問題
社内だけで管理職を育てようとするリスク
管理職育成を「社内だけ」で完結させようとしていませんか。実はこれが、「罰ゲーム感」を強める一因になることがあります。
社内には、
「うちの管理職はこうあるべき」
「これまでの成功モデル」
といった暗黙の前提が強く存在します。
その前提の中では、自分なりの管理職像を模索する余地がほとんどありません。
越境学習が注目される理由|日本だけの問題ではない
管理職志向の低下は、日本特有の現象ではありません。
LinkedInが発信した調査では、管理職になりたいと答えた個人貢献者は約30%にとどまると報告されています。これは、管理職という役割の意味づけ自体が、グローバルに揺らいでいることを示しています。

「会社のための管理職」から「自分のキャリアのための管理職」へ
他社・他業界の管理職と対話する越境の場では、「社内の正解」から一度距離を取り、「自分にとっての正解」を考える余白が生まれます。
そこで初めて、「管理職という役割を、自分の人生を試す“実験場”にしてもいい」という視点の転換(パラダイムシフト)が起こります。
この意味づけの変化こそが、自律的なリーダーを動かす原動力になります。
管理職をキャリアの成長機会に変える考え方【RPG視点】
管理職を「人生のステージ」として捉え直す
管理職という期間を、単なる社内の階級ではなく、「人生をアップデートするRPGのボーナスステージとして捉え直す。」この視点を持てるかどうかで、管理職経験の質は大きく変わります。
管理職経験で得られる3つのキャリア資産
管理職という役割を前向きに捉え直すために、重要な要素は次の3つです。
人生キャリアの目的 今の役割が、将来どんな自分につながるのかを言語化する
強みの発見 誰かの模倣ではなく、自分の武器でチームに貢献する
支え合う仲間 社外の同期と対話し、孤独を溜め込まない
これらが揃ったとき、管理職は「耐えるもの」から「自分らしく挑戦するもの」へと変わります。
まとめ|次世代リーダーに「管理職を探求する場」を用意する意味
スキル研修では埋まらない「管理職への迷い」
管理職打診を「キャリアの停滞」ではなく、「人生の新しい扉」と捉える人を増やしたい。
もし、次世代リーダーたちの背中に迷いや不安を感じているなら、スキル研修とは異なる「自分自身を探求する場」が必要かもしれません。
管理職キャリア探求会という選択肢
Good Teamでは、管理職の役割を構造的に理解し、自分なりのスタンスを言語化していく「管理職キャリア探求会」を提供しています。
まずは、越境の場で管理職候補者たちの視点や表情がどう変わるのか。体験セッションで、その兆しを感じてみてください。
この記事を書いた人
山田 聖子|MASAKO Yamada
株式会社Hitoiro 代表/管理職の社外メンターサービスGood Team代表

成人発達理論をベースに、管理職自身の実践を起点にしながら、一人ひとりの強みや経験を生かし、チームとして成果を出すための判断や関わり方を扱うリーダーシップ開発に取り組んでいる。社外メンタリングを通じて、これまで延べ1,000人以上の管理職の支援に携わってきた。



