苦手な部下との接し方|管理職が感情に振り回されず関係を整える5つの方法
- 山田 聖子|MASAKO Yamada

- 2 日前
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更新日:3 時間前

管理職がピープルマネジメントで、複数のメンバーと接していると、
「この部下とは、どうも話がかみ合わない」
「何を考えているのか分からない」
「指摘すると反発されるので、話しかけるのが億劫になる」
と感じる相手が出てくることがあります。
相手の顔を見るだけで身構えてしまったり、
1on1の予定が近づくと気が重くなったりすることもあるかもしれません。
私自身も会社員時代、どうしても苦手だと感じる相手と仕事をしていた経験があります。
人には、それぞれ価値観や仕事の進め方、コミュニケーションの特徴があります。
すべての人と自然に気が合うわけではありませんよね。
そのため、部下に対して苦手意識を持つこと自体を、必要以上に責める必要はありません。
ただし、管理職の場合は、苦手だからといって接する機会を減らしたり、必要な指導を避けたりすることはできません。
この記事では、苦手な部下との関係に悩んだとき、管理職としてどのように気持ちと状況を整理して、部下と接していけばよいのかをご紹介します。
苦手な部下を「好きになる」必要はない
まず前提として、苦手な部下との接し方、向き合い方を考えるとき、
無理に相手を好きになる必要はない
ということです。
管理職に求められるのは、すべての部下に好意を持つことではありません。
相手との違いを踏まえながらも、
必要な情報を伝える
チーム方針・戦略の理解を促しチームで活動する
成果を出すための支援をする
改善してほしい行動を具体的に伝える
公平に評価や成長機会を提供する
といった、管理職として必要な関わりを続けることです。
上司と部下の関係の質は、部下の仕事への満足度やパフォーマンスなどと関連することが、リーダー・メンバー交換関係に関する研究でLMX理論として示されています。また、人間関係上の対立は、チームの成果やメンバーの満足度と負の関連を持つことが報告されています。 ※「LMX理論」1970年代にグラーエン氏とウルビエン氏により提唱
「合う・合わない」という個人的な相性だけで終わらせず、チームの成果や育成に影響するマネジメント上の課題として整理することが大切です。
管理職が部下を苦手と感じる3つの背景
まず、ピープルマネジメントの際に部下を苦手だと感じてしまう際に、管理職によく起こりがちな3つのことを図解してお伝えします。

課長、部長などの中間管理職の方だけでなく、プロジェクトマネージャーや主任などを担う方々にもご経験があるのではないでしょうか。
それでは一つずつ見ていきましょう。
1.仕事の進め方や大切にしていることが違う
自分は、早めに相談してほしいと思っているのに、部下は自分で考えてから相談したい。
自分は、スピードを重視しているのに、部下は細部を確認してから進めようとする。
このような仕事の進め方の違いが続くと、
「なぜ、普通にできないのだろう」
「何度言っても分かってくれない」
という気持ちが生まれやすくなります。
そして、これらは単に「相手が間違っている」というシンプルな話ではなく、
仕事を進めるときの「判断基準」が異なっている可能性もあります。
2.部下への期待と実際の行動にズレがある
「この経験年数なら、ここまでできるはず」
「管理職候補なのだから、自分から動いてほしい」
「一度説明したので、理解しているはず」
こうした期待があるほど、部下の行動が期待に届かなかったときの落胆も大きくなります。
ところが、その期待を部下本人には具体的に伝えていないケースも少なくありません。
上司の中では当然だと思っている基準が、部下には共有されていないこともあります。
このような場合、部下の立場で考えると理不尽に感じてしまいますよね。
上司の「言わなくてもわかるだろう」は、
本来なら生まれるはずのなかった、信頼関係の崩れを生む引き金になりかねません。
3.過去の出来事が相手を見るレンズになっている
部下とのコミニュケーションや、業務を進める中で、
✔︎ 以前、指摘をしたときに強く反発された。
✔︎ 頼んだ仕事が期限までに終わらなかった。
✔︎ 相談を受けて対応したのに、その後の報告がなかった。
などの経験は少なからずあるのではないでしょうか?
一度気になる出来事があると、それ以降の行動もネガティブに見えやすくなります。
そして、この見え方は、その部下だけでなく、
コミニュケーション量の少ない部下や、新たに入社・異動してきた人材に対しても「恐怖」や「不安」という感情を持ったまま見てしまいがちです。
「また反発するのではないか」
「どうせ今回も報告しないだろう」
という予測が先に立ち、必要な対話を避けるようになることもあります。
管理職がピープルマネジメントを行う際、部下に苦手意識を持ってしまったら、まずは接する前にこの3つの背景を確認してみてください。
このようにメンバーの背景を理解することで、管理職自身の「見方」が変わり、接し方・向き合い方を変えていくことができるスタートラインに立つことが可能になります。
苦手な部下との5つの接し方・向き合い方
1.「事実」と「自分の解釈」を分ける
最初に行いたいのは、相手の行動と、自分の受け止め方を分けることです。
例えば、事実と自分の解釈を並べると下記の表のようになります。
事実 | 自分の解釈 |
会議で発言しなかった | やる気がない |
報告が期限の翌日になった | 責任感がない |
指示に対して別の案を出した | 素直ではない |
きっと、今この表を見ている方は、俯瞰してご覧いただくことができていると思います。
そのため、事実に対する自分の解釈が、「本当にそうなのか?」と疑問を抱くことができる状態でしょう。
しかし、人は一度相手を苦手だと感じると、行動だけでなく、相手の性格や姿勢まで否定的に判断してしまうことがあります。
「この人は〇〇な人だ」と決める前に、実際に、どのような行動が起きたのかを整理してみてください。
事実を具体的に捉えられると、感情だけではなく、改善のために何を話せばよいのかが見えやすくなります。
2.何を苦手だと感じているのか言葉にする
あの部下とは「なんとなく合わない」という状態では、対応方法を考えることができません。
話を最後まで聞いてもらえない
依頼したことへの反応が薄い
報告のタイミングが遅い
指摘すると、理由の説明が多くなる
自分とは仕事の進め方が違う
他のメンバーへの影響が心配
など、苦手意識の原因を具体的にしてみましょう。
すると、
「相手の存在そのものが苦手なのではなく、報告がないことで仕事の状況が把握できないことに困っている」
といった、実際の課題が見えてくることがあります。
3.自分の「当たり前」を確認する
苦手な部下と向き合うときは、相手だけでなく、自分自身の基準も確認する必要があります。
「自分なら、これくらい分かる」
「普通は、上司に先に相談する」
「意欲があれば、自分から動くはず」
と思っていることが、部下だけでなく、他部署の方々にも共通するとは限りません。
管理職自身が持っている「当たり前」が、相手の当たり前と揃っているかを確認しなければ必ずズレが生じます。
もちろん、チームマネジメントを行う際に
チームで守るべきルールや仕事上必要な基準は必要です。
そのため、「自分の当たり前」と「チームのルール・基準で明文化されたもの」は分けて考える必要があります。
例えば、よくある管理職の反省点は、
本当に仕事上必要な基準なのか、それとも「自分が慣れている進め方」なのか
という点を分けて考えられていなかったという点です。
「自分と違う」と「ルール上間違っている」を分けるだけでも、相手への見え方が少し変わります。
4.期待する行動を具体的に伝える
部下との関係がうまくいかないときほど、
「もっと主体的に動いてほしい」
「きちんと報告してほしい」
「社会人として考えてほしい」
といった抽象的な言葉を使ってしまいがちです。
しかし、抽象的な表現では、部下は何を変えればよいのか判断できません。
例えば、
------
✖️「もっと主体的に動いてほしい」
↓
⭕️「判断に迷ったときは、自分なりの選択肢を二つ整理したうえで相談してください」
------
✖️「きちんと報告してほしい」
↓
⭕️「次回の会議では、担当業務の状況と困っていることを一つずつ共有してください」
------
✖️「社会人として考えてほしい」
↓
⭕️「今後は、納期に遅れる可能性が分かった時点で、その日のうちに相談してください」
------
などと、期待する行動を具体的に伝えます。
相手の性格を変えようとするのではなく、仕事上必要な行動について合意することがポイントです。
5.相手の強みが生きる場面を探す
苦手意識が強くなると、相手の気になる部分ばかりが目に入るようになります。
しかし、ネガティブに見える特徴も、場面によっては強みになることがあります。
細かい点を気にするから、ミスやリスクに気づける
慎重だから、重要な判断の前に情報を確認できる
意見が強いから、チームの思い込みに疑問を投げかけられる
一人で考えたがるから、集中して専門性を深められる
反応が控えめでも、話した内容を丁寧に整理していることがある
無理に良いところを探して、苦手意識を消そうとする必要はありません。
その人の特徴が、どのような仕事や役割でプラスに働くのかを考えてみてください。
管理職の仕事は、全員を同じタイプに変えることではなく、それぞれの特徴を理解し、チームの中で生かすことでもあります。
メンバーの強みや特徴を生かして、適切なアサインや仕事の渡し方をすることができれば、今まで苦手だと感じていた部下に対して、不思議なことに「感謝」の気持ちが徐々に湧いてくるはずです。
苦手な部下にしてはいけない3つの対応
苦手意識があるときほど、次のような対応には注意が必要です。
1.必要なコミュニケーションまで減らす
関わると疲れるからと会話を避けてしまうと、情報共有や育成の機会が減り、さらに関係が悪化しやすくなります。
2.周囲に「あの人は問題がある」と話す
管理職の言葉は、他のメンバーから見たその人の印象にも影響します。
相談する場合は、人格への評価ではなく、起きている事実と困っている状況を伝えることが大切です。
3.好き嫌いを評価や仕事の機会に反映する
話しやすい部下にだけ情報や仕事が集まり、苦手な部下には重要な仕事を任せなくなると、成長機会や評価の公平性にも影響します。
「自分は、この人への関わりを無意識に減らしていないか」と、定期的に振り返ってみましょう。
一人で関係を改善しようとしなくてよい場合もある
対話や期待のすり合わせを行っても、仕事上必要な行動が改善されない場合もあります。
また、相手の言動によって他のメンバーやチームの業務に大きな影響が出ている場合には、管理職一人で抱え込む必要はありません。
起きている事実
これまで伝えた内容
相手の反応
業務やチームへの影響
今後必要だと考えている対応
を整理し、上司や人事と相談しましょう。
相手を苦手だと感じているからこそ、自分一人の見方だけで判断せず、第三者の視点を入れることも重要です。
苦手意識とマネジメントを分けて考える
苦手な部下がいると、
「管理職なのに、こんな感情を持ってはいけない」
「もっと上手に関わらなければ」
と、自分を責めてしまうことがあります。
しかし、管理職も一人の人間です。
大切なのは、苦手という感情をなくすことではなく、その感情によって、必要な関わりや公平な判断まで失わないことです。
まずは、
何が起きているのか
自分は何を苦手だと感じているのか
部下にどのような行動を期待しているのか
相手の特徴を生かせる場面はないか
これらを整理してみてください。
視点を少し変えることで、苦手な部下がすぐに好きな部下になるわけではありません。
それでも、「関わりたくない相手」から、「違いを踏まえて、必要な関わりを選べる相手」へ変えていくことはできます。
よくある質問
苦手な部下を好きになる必要はありますか?
好きになる必要はありません。
相手への好き嫌いと、管理職として必要な指導、情報提供、評価、成長支援を分けて考えることが大切です。
苦手な部下にも、他の部下と同じように接するべきですか?
評価基準や成長機会は公平にする必要があります。
ただし、伝え方や任せ方まで全員同じにする必要はありません。
相手の経験や特徴に応じて、関わり方を調整します。
話し合っても部下の行動が変わらない場合はどうすればよいですか?
期待する行動、期限、確認方法を具体的に共有し、一定期間の変化を確認します。
それでも改善されず、業務やチームへの影響が続く場合は、あなたの主観ではなく「事実」を整理して上司や人事へ相談しましょう。
管理職としての関わり方、育成に悩んだら
管理職も人間なので、部下や上司、ステークホルダーに対して苦手意識を持つことは当たり前です。
しかし、まだ
✔︎ チームビジョンに対して今何が必要なのか
✔︎ チームの状態はどんな状態を作る必要があるのか
✔︎ 部下にどうなってもらう必要があるのか
✔︎ 部下の強みや特徴をどう生かすのか
✔︎ 管理職としてどうあるべきなのか
などが整理できていないだけかもしれません。

部下との関係やチームの状態、そして大切な管理職自身の「見え方」や「感情」をメンターと対話して整理しながら、次に取り組む行動を決め、実際の職場で試し、その結果を仲間やメンターと振り返ることを繰り返します。
一人で考え続けるのではなく、迷いを具体的な「次の一手」に変え、部下を変える方法を探すだけでなく、管理職自身が自分なりの判断軸を持ち、チームに必要な関わりを選べる状態を目指します。
課長・部長などの中間管理職の皆さんが、
自分なりの判断軸を持ち自分を生かしてリーダーシップを発揮し、イキイキとマネジメントができるよう
マンツーマン、または、グループでご支援しております。
▼管理職のパーソナルメンタリング
▼グループメンタリング「チェンマネBOOTCAMP」
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この記事を書いた人
山田 聖子|MASAKO Yamada
株式会社Hitoiro 代表/管理職の社外メンターサービスGood Team代表

成人発達理論をベースに、管理職自身の実践を起点にしながら、一人ひとりの強みや経験を生かし、チームとして成果を出すための判断や関わり方を扱うリーダーシップ開発に取り組んでいる。社外メンタリングを通じて、これまで延べ1,000人以上の管理職の支援に携わってきた。





