top of page

なぜ女性管理職が増えないのか?育成と評価に潜むアンコンシャスバイアスの正体【DEI・女性活躍推進Tips】

  • 株式会社Hitoiro
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分

女性管理職が育ちにくい“構造的な原因”とは?

☑️「実力不足」ではなく、「期待される力の定義」が曖昧

多くの女性従業員が、管理職に求められる力の“正体”がわからないまま評価され、「まだ早い」と見なされる傾向に直面しています。特に「リーダーシップ」や「マネジメント力」という言葉の背後に、無意識に“男性的な行動様式”が前提とされている場合、そのギャップが評価に影響します。

    (グラフ1)『Good STORYの女性従業員キャリア意識調査』上場企業合同調査 n=821(2024年12月実施)設問:現在、あなたが管理職に対して持っているネガティブイメージに近しいものを5つお選びください。(MA)
(グラフ1)『Good STORYの女性従業員キャリア意識調査』上場企業合同調査 n=821(2024年12月実施)設問:現在、あなたが管理職に対して持っているネガティブイメージに近しいものを5つお選びください。(MA)

☑️ ライフイベントと家庭負担の偏りが昇進意欲を押し下げる

厚生労働省「男女共同参画白書(令和2年版)」によると、共働き家庭の家事育児負担は1日あたり女性が208分、男性はわずか44分。(出典:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/honpen/b1_s00_01.html

こうした生活面での圧倒的な負担は、育休復帰後の女性従業員にとって「キャリアの継続」と「生活の持続可能性」を天秤にかけさせることになります。「昇進すれば生活が壊れるのでは」という恐れが昇進意欲を奪う構造になっているのです。


☑️ 昇進対象リストに女性が挙がらない

「昇進対象者に女性がいない」というのは、実は“いない”のではなく“気づかれていない”だけのことが少なくありません。管理職が後任を選ぶ際に、無意識に自分と似た人物や背景を持つ人を推薦しやすい傾向があることは、組織心理学などでも指摘されています(類似性バイアス/homophily bias)。

また、現場では「育児中で忙しそうだから配慮した方がよい」「本人の負担になってはいけない」など、配慮のつもりで女性従業員を昇進候補から外してしまうケースも少なくありません。このような“善意のバイアス”が、結果として女性管理職の登用を妨げている現実があります。


☑️ “女性従業員の育成支援”がバラバラで、支援されている感覚が持てない

Good STORYの女性従業員キャリア意識調査(2024年12月実施)では、「上司の言うことが日によって違う」と回答した人が12.3%、「何を期待されているかわからない」と感じている人が15.7%という結果が出ています。これは、育成支援の方針が現場で統一されておらず、受け手によっては戸惑いや疎外感を生む要因となっていることを示しています。


たとえば、「配属先によって管理職との距離感や面談頻度が大きく異なる」「職場によっては育成というより“放置”に近い状態だった」というような回答も散見されました。支援が“存在するかどうか”ではなく、“どう在るか”が、育成環境における納得感や安心感に大きく影響しているのです。DEI担当者としては、こうした“支援がバラバラに提供されている”状況を構造的に整える視点が求められます。


また、下記のグラフで示す「管理職キャリアを検討する際、チャレンジしたくなるポイント(n=821)」として『明確な職務範囲(役割)の設定と説明』を選んだ人は、全体の32.9%に上り、期待の不明確さに対する課題意識の強さが定量的にも裏付けられています。


これらの結果は、属人的な育成スタイルではなく、チームや組織として共通言語で支援設計を行うことの重要性を物語っています。DEI担当者としては、「誰に、何を、どのように支援するのか」という構造的な視点で、育成のあり方そのものを見直す必要があります。


(グラフ2)『Good STORYの女性従業員キャリア意識調査』上場企業合同調査 n=821(2024年12月実施) 設問:管理職キャリアを検討する際、どのようなことがあるとチャレンジしたく(しやすく)なると感じますか?当てはまるもの全て教えてください。(MA)
(グラフ2)『Good STORYの女性従業員キャリア意識調査』上場企業合同調査 n=821(2024年12月実施) 設問:管理職キャリアを検討する際、どのようなことがあるとチャレンジしたく(しやすく)なると感じますか?当てはまるもの全て教えてください。(MA)

無意識のバイアスは“設計”で減らせる


☑️ 女性従業員の育成支援のスタイルを構造的に整える

上司・人事・チーム全体で「どんな支援を・誰が・どのように行うか」を言語化し、共通認識として持つことが重要です。上記の調査結果「管理職キャリアを検討する際、チャレンジしたくなるポイント(n=821)」でも、「上司との信頼関係」(42.9%)、「周囲の同僚の理解と協力」(44.0%)、「相談できる環境」(39.8%)などが高い割合で挙げられています。

これらの結果は、制度や支援体制が“納得できる形で存在しているか”が、登用意欲や安心感に直結していることを示しており、「支援の“存在”」だけでなく、「支援の“在り方”」そのものが重要であることを示唆しています。


☑️ 管理職候補の評価基準を“行動レベル”で明確にする

「何を頑張れば評価されるのか」が不明確なまま、登用のチャンスを失っているケースは少なくありません。Good STORYの女性従業員キャリア意識調査(2024年実施)でも、「職務範囲の説明が曖昧」「挑戦中の努力が評価されない」といった声が多く集まりました。

また、上記調査結果(グラフ2)でもとして『明確な職務範囲(役割)の設定と説明(32.9%)』『昇進理由の丁寧な説明(23.7%)』『これまでの経験を活かせることが事前にわかる(20.6%)』となっており、定量・定性の両側面から、評価基準の不明確さが組織課題となっていることが示されています。


☑️ 制度の“納得感”を支える育成・登用設計

報酬・働き方のバランスが崩れていると、制度は“重荷”として認識されます。「残業代が出ない分、何の補填もない」「責任だけが増える」といった声は、評価と制度設計が分断していることの証です。

上記のGood STORYの女性従業員キャリア意識調査(グラフ2)でも、『周囲の同僚の理解と協力(44.1%)』『プライベートと仕事の両立ができる柔軟な勤務体系・労働条件(40.7%)』となっており、自分の努力や負担が正当に報われる制度であること、柔軟な働き方が選択できることが求められていることがわかります。

納得感のある制度とは、“結果としての制度”ではなく、“挑戦する動機を支える制度”である必要があります。


構造的バイアスを見直すためにできること

構造的バイアスを見直すために重要なのは、従業員一人ひとりの“本音”を丁寧にすくい上げ、その声を起点に制度や評価・育成などの仕組みを見直していくことです。現場の実態に根ざした支援や登用の設計ができると、「どうすれば登用されるのかが見える」「制度が自分に関係するものとして捉えられる」といった納得感や自発性につながります。

また、適切に運用されることで企業への信頼が高まり、エンゲージメント向上にも繋がります。結果として、管理職としての挑戦を前向きに捉える土台が生まれ、育成の効果も高まっていきます。



Good STORYでは、女性従業員を対象にした、管理職を輩出するキャリア意識のWEBアンケートを通じて、

  • 管理職昇進意向者の出現レベル

  • 管理職昇進希望者のペルソナ

  • 管理職登用への不安や期待

  • 支援されていないと感じるポイント

  • 評価・役割設計のズレ

などを可視化し、それぞれの企業の文化や課題感に応じた育成設計・登用設計を支援しています。

データの定量性と現場のリアルな声を組み合わせることで、見えづらかった“構造的バイアス”を言語化し、改善への一歩に変えることが可能になります。

アンコンシャスバイアスに気づく“きっかけ”は、制度や意識改革の前に、従業員のリアルな声から“構造”そのものを見直すことも大切です。



📩 女性管理職登用に向けた「Good STORY」のご利用や調査設計のご相談はこちらから




bottom of page